おっさんの徒然日記

聖教新聞に掲載された記事を紹介するブログです。

名字の言 令和5年5月21日

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“手っ取り早い”は、良い? 悪い?

 

 先進7カ国教育相会合で「富山・金沢宣言」が採択された(14日)。チャットGPTなど、膨大なデータを使って文章や画像を作る生成AI(人工知能)の急速な発達が与える教育への影響にも言及している

 

 生成AIは能率よく学習できる効果がある一方、論文作成などに悪用される懸念もあり、各大学が対策を講じている。ともあれ、手っ取り早く分かることには功罪がある

 

 評論家の小林秀雄氏は論じた。「物を考えるとは、物を摑んだら離さぬという事だ」「だから、考えれば考えるほどわからなくなるというのも、物を合理的に究めようとする人には、極めて正常な事である。だが、これは、能率的に考えている人には異常な事だろう」(『考えるヒント』文春文庫)

 

 仏道修行も同じだ。広宣流布を真剣に考え、取り組むほどに、尊い悩みが増える。安易な解決方法などない。ゆえに祈りは一段と強盛になり、一念も堅固になっていく

 

 小説『人間革命』に、「大阪の戦い」に挑む山本伸一を戸田先生が励ます場面がある。「人生は悩まねばならぬ。悩んで初めて信心もわかるんだよ。それで偉大な人になるんだ」と。大いなる人生には大いなる労苦が必要だ。いかに社会が変わろうと、それは変わらない。