最近、ニュースやSNSでよく見かける「退職代行サービス」と「静かな退職」という言葉。皆さんはご存知でしょうか? 前者は、本人の代わりに退職手続きを進めてくれるサービス。後者は、会社を辞めてはいないものの、仕事への情熱を失い、必要最低限の業務だけを行う働き方を指します。驚くべきことに、これらの動きは20代、30代の若い世代を中心に広がっているというのです。
なぜ、若い世代はこのような手段を選ぶのでしょうか? 記事によると、その背景には職場への強い不信感があるようです。退職代行を利用するケースでは、上司からのハラスメントなどが原因であることが多く、本来は仕事に意欲的だったにも関わらず、評価や給与面で正当に報われない経験を重ねた結果、「静かな退職」という心理的な離職を選ぶ若者も少なくないと言います。
これらの現象は、会社の都合ばかりが優先される古い組織風土に対する、若い世代からの静かな反発なのではないでしょうか。自律的なキャリア形成が当たり前になりつつある現代において、時代遅れの制度や価値観に固執する会社では、優秀な人材は確保できず、結果として生産性の低下を招くでしょう。
記事では、従業員の主体的なキャリア形成こそが、最終的には会社の成長に繋がると指摘しています。仕事に対する考え方は人それぞれですが、心理的な安全性の確保や、納得感のある評価基準を明確にすることなど、働く意欲を高めるための会社の努力は不可欠です。
「退職代行」と「静かな退職」。これらの言葉は、社会に深く根付いた古い組織風土に変革を求める、若い世代からの重要なメッセージなのかもしれません。私たち大人は、このシグナルを真摯に受け止め、これからの働き方について真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
(公明新聞電子版2025年4月7日掲載)